2015年1月22日木曜日

世に棲む日々 第四巻

最終巻。
三巻に引き続き高杉晋作の活躍の場面と死去まで描かれています。




動けば雷電の如く
発すれば風雨の如し
衆目蓋然
敢えて正視するなし
これわが東行高杉君にあらずや


高杉晋作の墓碑に伊藤(俊輔)博文が刻んだとされていますが、
彼のその行動力や直観力も素晴らしいが、無謀ともいえる行動や
海外への洋行の為に貰った金も遊びに使う荒々しさがあるかと思えば、
幕府に楯突いても、親と藩主に対する忠義は死ぬまでゆるぎなかった。

そもそも幕末の長州の事は殆ど知らなかったのですが、
長州藩自体が反幕府として日本から独立でもするかの勢いがあったこと。

イギリスをはじめ諸外国にも牙をむけるし、
さらに高杉の創った奇兵隊など諸隊が発生し、佐幕派と開国派で長州藩内での内戦も起き、
その後は幕府と戦争を起こし、幕府を倒すのです。

しかし、この間に薩長同盟もあるし、坂本龍馬や新撰組も同じ時代なのです。
尋常じゃないほど日本は乱れに乱れていたのが今からほんの150年ほど前とは想像し難いものです。

あと書きを読むと司馬遼太郎は本当は吉田松陰があまり好きでは無く、
高杉晋作を書くときには松陰を避けては通れないということで、
この作品で初めて吉田松陰を書いたそうです。

松陰の思想を汲んだ高杉晋作ですが、人間のタイプは随分違う二人、
通して読んでみると二人は一つのストーリーとして繋がっているのがよくわかります。

世に棲む日々(四)

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